あなたの「うんこ」はいくら?江戸時代はこんなものまで売れた!

文化と歴史

メルカリに出品したことはあるだろうか。

使いかけの化粧品やトイレットペーパーの芯、その辺で拾ったどんぐりや松ぼっくりまで。もうなんでも売れてしまう。

普段メルカリをあまり使わない私からしたら、「そんなものまで売れるの!?」と思うものがたくさんある。それだけ様々な人たちの需要が存在するのだろう。

ただ、うんこは売れないだろう。

売ろうとも思わないだろう。

しかし、江戸時代には売れたのだ。

今回はそんな「こんなものまで売れたの⁉」というものをいくつか紹介していこう。

壊れた傘

『世渡風俗圖會/清水晴風』国立国会図書館所蔵

まずは上の史料を見ていただきたい。「傘の古骨買い」という商売の人だ。前後に積まれているのが傘である。

なかなか読みづらい文字を頑張って読んでみると、「傘の古骨を買う」「毎日市中を~」と書いてあるのが分かる。

おそらく毎日街中を歩いて、「壊れた傘あったら買い取りますよ~!」と練り歩いてくれていたのだろう。

めっちゃ良くないか?

雨風強い日なんか、壊れた傘がよく捨てられているけど、傘買取りの方がいてくれたらそんな光景はなくなるだろう。もちろん捨てる奴が悪いのだけれども。

私の家でも壊れた傘のやり場に困っている。

買い取り金額は高くて現在の価値でいう300円くらいだったとか。

でも、壊れた傘で飲み物2本買えるならめっちゃ良いよなぁ。

古傘を骨と紙に分類し、骨は傘職人へ持ち込み、紙は包装紙などに再利用した。

ちょっと、出品してみるか。

ろうそくのろう

江戸時代の証明に欠かせないものといったら、ろうそくだ。

しかし、ろうそくはとても高価なもので庶民が気軽に買えるものではなかった。

そこで登場するのが、「ろうそくの流れ買い」という商売だ。

私たちが普段ろうそくを使うことはあまりないと思うが、ろうそくに火を灯すと、ろうが溶けてどんどん溜まっていく。それをもう一度固め直し、新しいろうそくを作った。

素晴らしいリサイクル精神だ。

リサイクル精神でいうとこんなものもある。

江戸時代には各家庭にかまどがあり、薪などを燃やして料理をしていた。銭湯では薪を燃やしてお湯を沸かしていた。そのため、燃えた後の木が大量の灰となって出てくる。

リサイクル精神を持った江戸時代の人々はこの灰にも目をつける。

街を練り歩きながら灰を買い取る、「灰買い」という職業ができた。私は出品をする作業を億劫に感じてしまい、なかなかメルカリに手を出せないでいるので楽でいいな、と思った。

灰はアルカリ性。様々なことに活用ができる。

昔の人のすごいところは、アルカリ性なんて言葉は無いわけで。「灰はアルカリ性だからこれらに使えて…」ではなくて、経験で「灰はこんなものに使うといいんだな…」と気がついてしまうところだ。

例えば、畑の肥料。関東では土が酸性という特徴があったので、アルカリ性の灰によって中和することができ、土壌の改善につながった。

また、藍染めに使用すると藍の色が鮮やかに出たというし、洗濯の際は石鹸代わりにもなった。

まさにSDGsを当たり前のように行っていたのが、江戸時代の人々だったのだ。

鈴木春信「持統天皇洗濯物干」東京国立博物館所蔵 洗濯桶に入っている液体は灰汁

糞尿

そして、糞尿も売れた。

化学肥料などなかった江戸時代では、糞尿も貴重な肥料になったからだ。

そのため、高く売ることができた。

しかも面白いことに、身分によって糞尿がランク付けされていたのだ。

一番上のランクは、幕府や大名屋敷で働く者の糞尿。良いものを食べていた武士だから、なのだろう。

次は街の公衆トイレで集められたもの、次は一般の家庭といった具合に細かくランク分けされていた。

中ランクのものだと、樽一杯が現代の価値で500円くらいになった。

あなたの糞尿はいくらで売れるだろうか。

『画解五十余箇条』国立国会図書館所蔵

上の史料は糞尿を買い歩く商売の人だ。

ちょっと、ひどい。左の男と右の女、鼻つまんでる…

これはメルカリに出品、とはいかないが、江戸時代の人々のリサイクル精神かつそれを商売に変える力は学ぶことが多い。

江戸時代の商売には生活の知恵がぎゅっと詰まっている。

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